住宅 = 土地 + 建物です。
土地の物理的な要素は、地盤と立地です。
建物の物理的な要素は、設計と施工と監理です。
よって、住宅 = 土地(地盤・立地)+ 建物(設計・施工・監理)とも表現できます。
もし、住宅を購入しようとしたら、「建物のチェック」はもちろん、「土地のチェック」も必要です。
土地については、「地盤のチェック」と「立地のチェック」が必要ということになります。
昨今、台風などの自然災害は、頻度や規模がより大きくなってきています。
購入前にハザードマップを確認し、地盤や立地の自然災害リスクを確認する重要性が指摘されています。
一方、人口減少や都市部への人口集中などに伴い、地方自治体の財政、地方自治体の消滅、老朽化したインフラへの対応、空き家などの問題も顕在化してきています。
立地においては、自然災害のリスクと同時に、市場性のリスクもチェックが必要です。
ここでいう市場性のリスクとは、簡単に言うと、万一、売却する際、換金性が低くなってしまうリスクです。
良い住宅 = 良い土地 + 良い建物
ところで「良い住宅」の条件ってなんでしょうか。
住宅 = 土地 + 建物 にならって言えば、
良い住宅 = 良い ( 土地 + 建物 )です。
さらには、
良い住宅 = 良い土地 + 良い建物
良い住宅 = 良い土地(地盤・立地)+ 良い建物(設計・施工・監理)
良い住宅 = 良い地盤 + 良い立地 + 良い設計 + 良い施工 + 良い監理
のように言い換えられます。
つまり「良い住宅」に必要な条件は
と言えるでしょう。
「良い住宅」の条件
「良い住宅」には、「良い地盤」「良い立地」「良い設計」「良い施工」が必要だということを述べました。
ここで、特に強調したいのは、
の2つがまず重要だということです。
理由は、建物は基礎が大事というように、まず、地盤がしっかりしていることが重要です。
たとえば、建物がいくら頑丈でも、地震の際に揺れが大きくなったり、建物が傾いてしまったりという可能性があるからです。
あるいは、建物がパーフェクトでも、立地によって浸水してしまっては、本末転倒だからです。
住宅診断 = 土地診断 + 建物診断
では理想的な「住宅診断」の条件ってなんでしょう。
これも上記にならって言えば、
住宅診断 = ( 土地 + 建物 )診断
住宅診断 = 土地診断 + 建物診断
です。
さらには、
住宅診断 = 土地診断(地盤診断・立地診断)+ 建物診断(設計診断・施工診断・監理診断)
住宅診断 = 地盤診断 + 立地診断 + 設計診断 + 施工診断 + 監理診断)
のように言い換えられます。
つまり、理想的な住宅診断の条件は、
となります。
これは、上記の良い住宅の条件それぞれをチェックするということを表現しているに過ぎません。
よって、良い住宅かどうかを確認する際には、これらの条件についてチェックしていきます。
- 物件の地盤は良い地盤なのか。軟弱な地盤ではないか。
- 物件の立地は良い立地なのか。台風やゲリラ豪雨などの際、浸水や洪水の被害に合うリスクは低いか。
- 建物の設計は良いか。耐震性は良いのか。使いやすい間取りなのか。採光や通風への配慮は良いか。雨漏り対策はされているか。
- 建物の施工は良いか。プラン通りに出来ているか。施工は丁寧か。
住宅のチェックは「物理的」「法律的」「経済的」側面から
実は、住宅診断は、物理的、法律的、経済的という3つの側面からのチェックが必要です。
いわば「住宅のデューデリジェンス」です。
上記の、 土地(地盤・立地) + 建物 (設計・施工・監理)というとらえ方は、物理的な側面に焦点を当てた場合の捉え方になります。
一般的に「不動産デューデリジェンス」では「物理的」「法律的」「経済的」の3つの側面から物件調査を実施します。
不動産デューデリジェンスにおける物件調査の3つの側面
不動産デューデリジェンスでは「物理的」「法律的」「経済的」の3つの側面から物件調査を実施します。
物的(物理的)調査
土地の状況調査
土地の形状、境界、接道状況、電気・ガス・水道の引き込み状況、土壌汚染、地盤状況などを調査します。
建物の状況調査
建物は、面積、構造、築年数、内装・外装・躯体・設備の劣化状況、メンテナンス状況、耐震性などを調査します。
法的(法律的)調査
都市計画法、遵法性(建築基準法・消防法など)、許認可関連書類の有無などを調査します。
経済的調査
地域経済の動向、人口動態などの地域の動向や、地価、賃料、需給バランスなどの不動産の市場性について調査します。
そもそも不動産売買では、対象物件についての情報は、売り手は熟知していても、買い手には不明な点が多い状態です。
買い手と売り手の情報格差(情報の非対称性)が前提になるので、その情報格差を埋めるために、買い手側がリスクヘッジとして「不動産デューデリジェンス」を実施します。
住宅も不動産なので、「物理的」「法律的」「経済的」の3つの側面から物件調査することが大切です。
マンションにおける「経済的」側面からのチェック
特にマンションの場合、長期的観点からは、将来の大規模修繕などメンテナンスのための積立金のマネジメント状況のチェックがかかせません。
これは「経済的側面からのチェック」のひとつと言えます。
マンションは、共同所有という形態なので、自分だけの判断や価値観だけでは、何事も決められません。
これは積立金(将来のためのお金の備蓄)にも当てはまります。
積立金は、将来の建物や設備などのメンテナンス計画等に基づき、共同出資してプールしておく資金です。
この積立金のマネジメントの成否は、資産価値(売却価格)に直結します。
よって、新築分譲マンションを購入するなら、適切な修繕計画はもちろん、過不足のない積立金がプールできるような計画になっているのか。
中古分譲マンションの購入なら、実施済みの修繕も含め、管理状況がどうなっているのか、過不足のない積立金がプールされているのか。今後の修繕計画なども要チェック事項です。
このように、積立金のマネジメントがうまくいっているか、また、客観的にみて、十分な積立金がプールされているかは、マンション診断では重要なポイントです。
住宅は、一般的に長期にわたり所有します。
そのため、購入物件を選ぶ際には、時間軸も考慮し、長期的な視点も必要になります。
かつては、不動産市場全体が、線形的に資産価値が上がりキャピタルゲインが得られるような時代もありました。
しかし、現在そして今後は、個別の物件ごとに、大きく評価が変わってしまう、社会環境、自然環境になってきています。
よって、よりシビアに個々の物件を評価せざるをえません。
その際には、「建物」と「土地」について、「物理的」「法律的」「経済的」という3つの視点からのチェックがより重要となります。