アメリカの住宅診断について、現地の診断業者などのWEBサイトを見ていると、建物については、基本的な住宅診断以外にも、専門的な住宅診断についての説明があります。
さらに、建物だけでなく、土地についても調査するメニューが用意されている場合もあります。
たとえば、基本的な住宅診断を推進している非営利団体のアメリカホームインスペクター協会(ASHI)は、1976 年に設立されています。
つまり、アメリカの住宅診断は、かれこれ40年以上の歴史があるということです。
歴史の積み重ねがあるだけに、住宅診断のバリエーションやサービス内容も充実しているのでしょう。
今回は、アメリカの住宅診断のうち、基本的な住宅診断以外の専門的なインスペクション項目について見てみました。
アメリカ最大の不動産業界団体のサイトにある不動産デューデリジェンスの解説
アメリカ最大の不動産業界団体、全米リアルター協会(NAR:National Association of Realtors)のサイトに、不動産デューデリジェンスの解説記事がありました。
そこには、
- デューデリジェンス(インスペクション)は「質の良くない住宅を購入してしまわないための最後の機会」
- 「全ての物件には欠陥(瑕疵)がある。新築住宅でさえ…」
などのメッセージや説明があります。
不動産業界団体も、住宅診断を薦めている言えるでしょう。
消費者保護を念頭に置いた、懐の深さが感じられます(^^)
そして、一般的な建物インスペクション以外の確認事項として挙げられている項目には、下記などがあります。
- 建物について
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- 土地について
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- 洪水ハザードエリア等の環境ハザード
- その他の近隣の問題
日本でシロアリの調査をしたい場合はどうするか
上記のように、建物の基本的な調査以外の調査項目には、
などが挙げられています。
たとえばシロアリの検査は、基本は売主が実施する、ターマイト・インスペクション(Termite Inspection)として専門業者が検査します。
シロアリ被害は、日本でもよくあります。
日本でも、不動産の業界団体や瑕疵保険業者と提携している、どちらかといえば、業者向けのサービスを提供している専門業者があります。
では、個人が、シロアリ検査をお願いしたい場合は、どこにお願いすればよいでしょうか?
たとえば、「公益社団法人 日本しろあり対策協会」に登録されている業者さんから探すのも一つの方法です。
公益社団法人 日本しろあり対策協会では、試験に合格した蟻害・腐朽検査を行う技術者(蟻害・腐朽検査士)が、検査・診断を行い、協会が定めた様式の報告書によって依頼者に報告するそうです。
- 蟻害・腐朽検査制度 | 公益社団法人 日本しろあり対策協会
- 蟻害・腐朽検査制度
-
検査人 |
本会認定の蟻害・腐朽検査士 |
検査対象 |
既存住宅 |
診断対象 |
シロアリ※1、腐朽、カビ、変色の兆候、湿気・通風状態など |
診断方法 |
非破壊検査※2によるほか、現場用計測器などを用いた環境検査※3 |
※1:ヤマトシロアリ、イエシロアリ、アメリカカンザイシロアリ、ダイコクシロアリ
※2:目視、打診、触診、圧入検査など
※3:床下温湿度、通風状況、床下地盤面の含水状況、木質部含水率など
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- 蟻害・腐朽検査はこんなときにご利用いただけます
-
- 簡易検査でシロアリや腐朽の被害や兆候が見つかった
- 中古住宅の売買前に、シロアリ等の被害が無いことを証明したい
- 近隣でシロアリの被害が出ている
- 新築以来、シロアリの防除施工をしていない
- 改善のための提案を含めた検査をしてほしい
- リフォーム前に劣化具合を把握したい
シロアリだけでなく、腐朽、カビなども診断対象なので、とくに気になる場合は、一般的な住宅診断に加えて、この「蟻害・腐朽検査」を実施すると良いかもしれません。
今回は、アメリカの住宅診断における基本的なインスペクション以外の専門のインスペクション項目について見てみました。
日本でも、たとえば中古住宅を購入する際には、場合によっては、シロアリの調査くらいはしておきたいものです。
もし建物がシロアリの被害を受けていると、建物の強度や耐久性が低下してしまいます。
つまり、元々期待されている耐震強度が発揮できなかったり、長く住むことができなくなってしまうことになりかねません。
たとえば、都市直下型地震の阪神淡路大震災時には、古い住宅が多かったせいもあるけれども、地震による住宅倒壊の原因に、腐れやシロアリ被害が挙げられていました。
下記のレポートにも、地震によって被害を受けた住宅が、シロアリにやられていたことが報告されています。
- 阪神大震災にみる住宅の腐朽およびシロアリ被害
- 阪神大震災にみる住宅の腐朽およびシロアリ被害
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- 今回の被災住宅では、腐朽にならんでシロアリによる木質部材の被害がしばしばみられ、柱の下部が晩材部だけを残してほとんどなくなっている状態のものも観察された。
- シロアリの被害は、従来から予測されている土台や床組み部分など地面に近いところ以外に、水が滞留したと思われる軒先部分にも及んでいる例があった。
- また、建設省建築研究所(1995)が行った調盗報告によっても、土台、柱、木ずり、筋かいなどのシロアリ被害が多く認められ、さらに柱の2階部分、梁にも被害の発生が及んでいることが指摘されている。