新築住宅のインスペクションは必要か?(中間検査としてのインスペクション)

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新築住宅のインスペクションは必要か?(中間検査としてのインスペクション)

2018/06/06 blog 記事の目次

建築基準法に基づいたプランどおりの住宅(ここでは一戸建て住宅を想定)を完成させるために、住宅の建築プロセスには、主に3つのチェック(確認・検査)があります。

  • (1)建築確認:法令適合性などの図面のチェック。
  • (2)中間検査:計画通りに施工がなされているかを建築途中にチェック。
  • (3)完了検査:完了時の最終チェック。

このうち、瑕疵の予防に最も重要なプロセスが「(2)中間検査」といえます。

「(1)建築確認」では、プランの法令適合性はチェックできますが、その後の施工に不備があれば瑕疵が発生します。

「(3)完了検査」では、たとえば目視で確認できない壁の中など、構造に関する施工精度のチェックは不可能となってしまいます。

よって、瑕疵の予防の大切なポイントは、建築途中のチェックである「(2)中間検査」によって、できるだけ施工不備をチェックすることになります。

ところが日本では、一般的な2階建ての木造住宅(いわゆる4号建築物※)の中間検査の実施は、特定行政庁ごとの判断にまかされています。

つまり都道府県などの判断によって、中間検査を実施する県と実施しない県があるのです。

しかも実施するとしても1回です。

たとえば、日本と同様、地震が多いアメリカのカリフォルニア州ロサンゼルス市では、市の職員による公的なインスぺクション(検査)は、1棟の住宅について5~7回くらいの実施されるとのこと。

つまり、日本の中間検査が複数回実施されていると言えます。

(【参考】まだまだ危ない!日本の住宅/日本弁護士連合会消費者問題対策委員会 (編集)-民事法研究会)

このように、日本の新築住宅では、瑕疵の予防に最も重要なプロセスである中間検査の実施が、かなり心もとない状況であることを、住宅購入者はまず、認識しておく必要があると思います。

(※)4号建築物とは
建築基準法6条1項4号で規定する建築物で、2階建て以下・延べ面積500m2以下・高さ13m以下・軒の高さ9m以下の木造建物。多くの2階建て木造住宅が該当。
さらに、そのうち建築士が設計していれば、建築基準法6条の4第3号によって、建築確認の審査の省略が可能。

新築住宅にもインスペクションは必要か?

さて、今回のテーマである「新築住宅のインスペクションは必要か?」についてです。

このテーマは、以前にも少し言及しています。

新築住宅でも住宅診断は必要なのか?|住宅診断(ホームインスペクション)ナビ
新築住宅でも住宅診断は必要なのか?|住宅診断(ホームインスペクション)ナビ

結論を言えば、新築住宅にもインスペクションやはり必要だと言えるでしょう。

テレビでCMを流しているような知名度のあるパワービルダーなどの住宅でもあてはまります。

住宅診断(ホームインスペクション)をしてくれる民間会社の中には、新築住宅のインスペクションをしてくれる会社もあります。

着工時~上棟時~完成時までの各プロセスで、5~7回くらいの診断をしてくれるメニューを用意されている会社もあります。

つまり、カリフォルニア州ロサンゼルス市のように、中間検査としてのインスペクションを複数回実施するほうが瑕疵の予防には有効なはずです。

日本の制度では、中間検査は実施されていないか、実施されていても1度だけであれば、自己防衛として、インスペクションしておくしかありません(^^;

施工会社に言わせれば、社内検査を実施しているので安心だと言うかもしれません。

しかし、社内検査は身内の検査です。

やはり新築住宅でも、第三者的な立場の専門家によるインスぺクション(検査)をしておくのをおすすめします。

住宅のイメージ

大手ハウスメーカーの住宅でもインスペクションは必要か?

では、大手ハウスメーカーの住宅でもインスペクションは必要でしょうか?

これも結論を言うと、大手ハウスメーカーの住宅でも、できれば第三者的な立場の専門家によるインスぺクション(検査)をしておくのをおすすめします。

大手ハウスメーカーの住宅、いわゆるプレハブ住宅では、国土交通省の認定(型式適合認定)を受けている場合、中間検査は免除されているからです。

プレハブ住宅は工業化住宅として、現地での施工プロセスが省力化され、施工精度はより高められている住宅ではありますが、完全に人の手による施工がないわけではありません。

どうしても現場において、職人の手によって施工する部分はあります。

たとえば、施工している大手ハウスメーカーの決算期に近いタイミングに住宅が完成する予定の場合、かなり急ピッチで施工されるケースがあります。

施主が完成を急いでいなくても、逆に「早く完成させてほしい」と住宅会社側からお願いされることもあるかもしれません(^^;

直近の決算の数字を少しでも良くしたいという意向があるのでしょうか。。

このように、急ピッチの施工がされるような状況では、得てして、施工時にうっかりミスが起こりやすいものです。

よって、大手ハウスメーカーといえども、瑕疵が発生する可能性は否定できません。

大手ハウスメーカーの住宅でも、やはり第三者的な立場の専門家によるインスぺクション(検査)をしておくほうが、より安心できます。

住宅のイメージ

今回は、あらためて、新築住宅のインスぺクション(検査)の必要性について言及しました。

つい先日、テレビ東京『ガイアの夜明け』で、賃貸アパート大手の『レオパレス』のアパートの天井裏に、遮音や延焼を防ぐ『界壁』が設置されていない問題がニュースになっていました。

これも計4回の社内検査や、行政による完了検査が実施されていたにもかかわらず、建築基準法違反に該当するような施工不備が見逃されていたということになります。

この番組を見て、第三者による中間検査が必要なことをあらためて認識しました。

同時に、一般的な2階建ての木造住宅(4号建築物)でもそのような危険性があることもすぐに想起しました。

ロサンゼルス市などと比べると、日本の場合、制度的に、新築住宅でも瑕疵が見逃されたまま施主に住宅が引き渡されてしまう可能性がより高いように思います。

新築住宅がこのような状況だとしたら、「いわんや中古住宅をや」ということになるのではと思います。(^^;

【参考】
スクープ!レオパレス21”違法建築”疑惑が発覚:ガイアの夜明け|テレ東プラス:テレビ東京
日本弁護士連合会│Japan Federation of Bar Associations:4号建築物に対する法規制の是正を求める意見書
※意見書では、建基法が4号建築物の構造計算を免除するだけでなく、建築確認や検査手続きで構造審査の免除ないし省略を認める、いわゆる4号特例が、欠陥住宅被害が生み出される温床になっていると指摘。
「建築確認手続や中間検査・完了検査手続において例外なく構造安全性の審査や検査を行うものとし、(中略)建築確認申請時に構造関係の設計図書の添付を義務付けるべきである」とも訴えている。
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