中古住宅と既存住宅(きそんじゅうたく)という言葉があります。
国土交通省のWEBサイトや資料でも、また大手メディアなどでも、「中古住宅」と「既存住宅」は特に定義なく使われ混在しています。
※どこかで定義されているのかな(^^;
はたして「中古住宅=既存住宅」なのか、「中古住宅≒既存住宅」なのか、「中古住宅≠既存住宅」なのか。
アメリカでは中古住宅はused house とは呼ばず、existing houseやexisting homeと呼ぶという解説もあります。
※でもused houseで検索すると普通にアメリカのサイトがヒットしてきます(^^;
existing=既存 とし、existing house=既存住宅 として、中古住宅のことを単にアメリカ風に「既存住宅」と呼んでいるのでしょうか。
日本でなじみがあるのは「中古住宅」
日本では、一般になじみがあるのは「中古住宅」だと思います。
個人的には「中古住宅」という呼び方で特に問題があるとは思えませんが、それでなにか問題があるのでしょうか?
たとえば、住宅金融支援機構のWEBサイトの商品紹介でも、「中古住宅」という言葉はあっても「既存住宅」という言葉は見当たりません。(^^;
アメリカの中古住宅と日本の中古住宅の大きな違い
ただ実際は、アメリカの中古住宅と日本の中古住宅とでは、大きな違いがあるようです。
一番のそしてとても重要な違いは、「将来の資産価値が維持されるかされないか」という部分です。
ここでは、中古住宅を単に「土地+建物」ととらえるのではなく「すでに住宅が建っている周辺エリアを含めた住環境」を想定します。
日本の中古住宅は将来の資産価値が維持されません。
日本のすべての中古住宅の資産価値が維持されないと言い切ることはできませんが、日本の戸建住宅(持ち家)の7割を占める木造住宅(在来工法)は、新築から約20年で一律に資産価値がゼロと査定される業界の慣習があります。
仮にどんなにメンテナンスしていても、状態が良くても、建物は「約20年で資産価値がゼロ」と評価されます。経過年数に応じて一律に減価評価されてしまうのです。
よって日本では、「中古住宅の資産価値」 ≒ 「土地部分の資産価値」 となってしまいます。
一方のアメリカでは、建物のメンテナンスを含めた住環境のマネジメントがしっかりしているので、資産価値が維持されてるとのこと。
まあ、このような彼我の違いは当然の帰結であるようにも思えますが、せめて、中古住宅の建物の資産価値評価において経過年数に応じて一律に減価評価してしまう日本の慣習くらいは、早急に改善されることを期待したいものです。
↓こんなニュースもありました。
沖縄県不動産鑑定士協会やコザ信用金庫などが、中古住宅の担保価値の評価手法において、リフォームや修繕などで向上した資産価値を加味する新たな評価基準を策定したところ、築30年の住宅で、リフォームした物件とそうでないものとで1千万円の差が出たというニュースです。
担保価値の評価が上がるので、結果的に住宅ローンの融資額も上がることにつながるのでしょう。
このような正当な建物評価がなされ、中古住宅のローンも組みやすくならないと、なかなか中古住宅の流通が進まないのではと思います。
「中古住宅」のことを「既存住宅」と言い換えても
で「中古住宅」のことを「既存住宅」と言い換える件です。
日本で「中古住宅」のことを「既存住宅」呼ばせたいのは、アメリカのように資産価値が維持される中古住宅になる期待を込めてのことなのでしょうか。
「資産価値を維持する」と、言葉でいうのは簡単ですが、実際はさまざまな条件が必要で、資産価値の正当な評価基準はもちろん、住環境を維持するため厳格な建築ルールなどを住み手が順守することも必要です。
都市計画や建築協定、時間軸も考慮した住環境についてのマネジメントも必要なはずです。
つまり、個人の努力だけでは成立せず、地域住民の連携や、自治体、行政との連携による住環境を維持する仕組みがないと「資産価値を維持する」ことはできません。
果たして日本ではそれがいつ実現するのでしょうか。
早くそうなって欲しいとは思いますが、そのようなエコシステムができあがるには、それ相応の時間がかかるだろうなあとも思います。(^^;
中古住宅の呼び方はどうあれ、日本で中古住宅が正当に評価され、資産価値が維持される日は、果たしていつになるのでしょうか?
個人的には、単に「中古住宅」を「既存住宅」と呼び変えたとしても何も変わらないよね~と思うのですがいかがでしょうか。