生活環境としての土地

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生活環境としての土地

「生活環境としての土地」を考慮する時、まず「立地」を考えます。

ここでの「立地」は、一般的な生活施設や交通の利便性にとどまりません。

もっと長期的な観点から、何十年も経過した後の、そのエリアの将来像を考えることが重要です。

というのは、日本の人口動態から、急速に人口減少、高齢化することがはっきりしています。

そのため、特に郊外では、今は良くても将来、街としての住環境を保てなくなる可能性のある立地ではないかを考慮しておくことも、物件選定の際に必要なポイントです。

例えば近年、「空き家」問題が取り上げられることも多くなっています。

「空き家」が増えたときには、治安や景観、公衆衛生の問題、さらには、道路や公園、水道などのインフラ整備が困難になったり、民間の生活サービス関連業者の撤退など、そのエリア全体の生活環境の劣化や資産価値の低下につながってしまう可能性も出てきます。

そのようなリスクも考慮し、長期的な観点からも、検討物件の「立地」エリアを考慮しておく必要があると思います。

検討物件の「立地」エリアについてまず調べておきたいのは、「都市計画」や「用途地域」などの土地の基本的な情報です。

検討物件の土地の利用規制、将来的な土地の利用計画について調べておきます。

場合によっては、「人口・世帯数の推移」「年齢別男女別人口構成」も調べておくと良いかもしれません。

特に、地方都市によっては「立地適正化計画(注1)」によって居住を促すエリアと指定される「居住誘導区域」についてもチェックが必要になります。

さらに現在の物件調査では必須と言える「Googleマップ」でのチェックもおすすめします。

該当物件の周辺にどんな施設や交通機関があるのかなど、実際の位置関係などをリアルに具体的に、事前に把握しておきます。

絵で見る都市計画
国土交通省

都市計画の基本事項がわかりやすくまとめられています。

みんなで進めるまちづくりの話-国土交通省
http://www.mlit.go.jp/crd/city/plan/03_mati/

用途地域・都市計画

土地は、都市計画によって、建物を建ててもよい場所とそうでない場所が決められています。

建物を建ててもよい場所は「市街化区域」に指定され、住居、商業、工業などの利用目的に応じて13種類の「用途地域」が指定されています。

13種類の「用途地域」ごとに、建てられる建物の種類が決められています。

つまり、住宅を建てられる土地の環境は、あらかじめ都市計画によって決まっている面もあるのです。

よって検討物件およびその周辺の「用途地域」と「都市計画」は事前に調べておきましょう。

例えば、検討物件の前面道路が「用途地域」の境目になっていることもよくあります。その際、今現在は道路の反対側が住宅でも、将来マンションが建ち日当たりが悪くなってしまうという場合もあり得ます。

現況の建物状況だけで判断せず、「用途地域」をチェックしておけば、より具合的にその土地の条件が把握できます。

「都市名 用途地域」とWEBで検索すれば、検討物件の所在地の自治体WEBサイトで確認できます。

WEBサイトに「用途地域」が用意されていない場合は、役所で「都市計画図」を閲覧するか購入しましょう。あわせて、何か「都市計画」があるかも確認すると将来的な街づくりの計画などを事前に知ることができるかもしれません。

13種類の「用途地域」の説明
用途地域名 用途地域説明
住居系 第一種低層住居専用地域 低雇住宅の良好な環境を守るための地域。小規横なお店や事務所を兼ねた住宅、小学校、中学校などはOK。
第二種低層住居専用地域 主に低雇住宅の良好な環境を守るための地域。小学校、中学校のほか、150m2までの一定のお店などはOK。
第一種中高層住居専用地域 中高層住宅の良好な環境を守るための地域。病院、大学、500m2までの一定のお店などはOK。
第二種中高層住居専用地域 主に中高層住宅の良好な環境を守るための地域。病院、大学などのほか、1,500m2までの一定のお店や事務所などはOK。
第一種住居地域 住居の環境を守るための地域。3,000m2までのお店、事務所、ホテルなどはOK。
第二種住居地域 主に住居の環境を守るための地域。お店、事務所、ホテル、パチンコ屋、カラオケボックスなどはOK。
準住居地域 道路の沿道において、自動車関連施設などの立地と、これと調和した住居の環境を保護するための地域。
田園住居地域 農業と調和した低層住宅を守るための地域です。住宅に加え、農産物の直売所などが建てられます。
商業系 近隣商業地域 近隣の住民が日用品の買い物をするお店等の利便の増進を図る地域。住宅やお店のほかに小規模の工場もOK。
商業地域 銀行、映画館、飲食店、百貨店、事務所などの商業等の業務の利便の増進を図る地域。住宅や小規模の工場もOK。
工業系 準工業地域 主に軽工業の工場等の環境悪化の恐れのない工業の利便を図る地域。危険性、環境悪化が大きい工場のほかは、ほとんどOK。
工業地域 主として工場の業務の利便の増進を図る地域。どんな工場でもOK。住宅やお店もOK。学校、病院、ホテルなどは×。
工業専用地域 専ら工業の業務の利便の増進を図る地域。どんな工場でもOK。住宅、お店、学校、病院、ホテルなどは×。

居住誘導区域

「立地適正化計画(注1)」によって居住を促す「居住誘導区域」は、今後、注視しておく必要があります。

「居住誘導区域」とは、コンパクトシティーを進める市町村が「立地適正化計画(注1)」に基づき指定する、居住を促すエリアです。

一方、病院や商業施設などを集めるエリアは「都市機能誘導区域」に指定されます。

これらは、特に、地方都市における急速な人口減少や高齢化、空き家問題などの対策として、国土交通省が平成26年8月に施行した改正都市再生特別措置法に基づく都市計画の一つです。

今後、自宅が「居住誘導区域」内に立地しているかどうは、将来、自宅周辺の生活インフラの整備や自宅の資産価値に直結してくる可能性があります。

仮に将来、自宅が「居住誘導区域」外の立地になってしまうと、学校・病院・スーパーなどの生活施設が撤退したり、民間のバスが撤退したり、いざ売却しようとしてもとても売りにくくなってしまう可能性があります。

よって、将来の居住環境や資産価値を考えると、外せないチェック項目と言えます。

ところが「立地適正化計画(注1)」の内容は、宅地建物取引業法で説明が義務づけられる重要事項には該当しないので、物件購入時には、業者からの説明はありません。

物件購入においては、ぜひ「立地適正化計画(注1)」および「居住誘導区域」についてもチェックされることをおすすめします。

国土交通省の「立地適正化計画作成の手引き」の「誘導区域等・誘導施設の検討について」の項目で、望ましい区域像として「居住誘導区域」を以下のように説明しています。

居住誘導区域

生活利便性が確保される区域

都市機能誘導区域となるべき中心拠点、地域/生活拠点の中心部に徒歩、自転車、端末交通等を介して容易にアクセスすることのできる区域、及び公共交通軸に存する駅、バス停の徒歩、自転車利用圏に存する区域から構成される区域。

生活サービス機能の持続的確保が可能な面積範囲内の区域

社会保障・人口問題研究所の将来推計人口等をベースに、区域外から区域内に現実的に誘導可能な人口を勘案しつつ、区域内において、少なくとも現状における人口密度を維持することを基本に、医療、福祉、商業等の日常生活サービス機能の持続的な確保が可能な人口密度水準が確保される面積範囲内の区域。

災害に対する安全性等が確保される区域

土砂災害、津波災害、浸水被害等により甚大な被害を受ける危険性が少ない区域であって、土地利用の実態等に照らし、工業系用途、都市農地、深刻な空き家・空き地化が進行している郊外地域などには該当しない区域。

Googleマップ

Googleマップが使える時代になって、物件情報を得る手段が劇的に変わりました。

Googleマップを駆使し事前にそのエリアの状況を把握しておけば、実際に現地に行った際に見落としなく、いろいろ確認できるので、Googleマップでの事前チェックは欠かせません。

まだあまりGoogleマップを活用したことがない方のために、パソコン版での使用方法の一例を下記にメモしておきます。

  1. 単純に、Googleの検索窓に、該当の住所や近隣の施設名称を入力し検索すると、検索結果画面に該当箇所のマップが表示されます。
  2. そのマップをクリックすると、マップが拡大し、該当箇所のGoogle マップが表示されます。カーソルをマップに載せた状態で、マウスのスクロールボタン(ホイール)で、簡単に該当物件および周辺状況の確認できます。
  3. さらに、画面左下の「Earthサムネイル」をクリックすると、航空写真に切り替わります。画面左下の「地図サムネイル」をクリックすると、元に戻ります。
  4. また、画面右下の「オレンジ色の人のアイコン」を地図上に持ってきて、ブルーに色が変わった道路上で離すと、ストリートビューに切り替わります。
  5. ストリートビューはカーソルで360度位置を変え、カーソル付近に表示された矢印をクリックすると矢印の方向に進み、あたかもその道路を進んでいるように街並みを見ることが可能です。

Googleマップは常にリニューアルされ画面構成や機能なども更新されていますので、Googleマップについてあまり詳しくない方は、何か1冊最新のGoogleマップの解説本を購入し、使い方をマスターされると良いと思います。物件調査以外にも、日常生活の場面でとても重宝するツールになると思います。

新しくなったグーグルマップ! 施設検索が簡単、便利になった - 日経トレンディネット
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/pickup/20140120/1054645/
↑グーグルマップの使い方のわかるサイトで最新のものがなかなかありませんが、上記メモしておきます。
(内容は少し古いので、現在のGoogleマップと違う部分もあります。)
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